recollectionⅡ‐遠い音‐
「――たはぁ、ちっせぇ」
久し振りに見た、体育館を
私は小さく感じた。
「ねぇ怜佳?」
「まぁ、確かに…ね」
少し曖昧に怜佳は答えた。
「さて、何処に座ろうか」
体育館のステージ上では、
何かの演技がされていて
邪魔にならないように小声で離す。
ステージ近くのパイプ椅子には
いつか自分が着た制服を纏う
この学校の生徒席。
その後ろ、スペースを空けて
並ぶ並ぶパイプ椅子は、
所々空席があったが
半分以上が埋まっていた。
保護者らしき大人の姿や
小さい子も見える。
体育館の一番後ろには
撮影する人たち。
「…何処にしようか」
「いや、ウチに聞くなよ」
怜佳が言った。
「うーん」