心の距離
マネージャーと大島さんに引き摺られながら、ことみちゃんも近所の焼肉屋に向かった。

向かいに座ることみちゃんに、小さな幸せを感じた。

乾杯をし、しばらく飲みながら話していると、マネージャーが話しかけてきた。

「そこの兄ちゃんは、昨日噴いてたなぁ!」

「え?あ、はい…」

横目でことみちゃんを見ると、ことみちゃんは平然とタバコに火を点けた。

マネージャーが何を話してもあまり関心が無いのか、ことみちゃんはただ黙っていた。

「ちょっとすいません」

立ち上がり、ポケットから携帯を取り出しながら部屋を後にすることみちゃん。

「何かあったのか?」

声のトーンを落としながら聞く大島さんに、マネージャーが寂しそうに答えた。

「リーダーミーティングで西野にボロクソに言われてさ、今日いっぱいで辞めたんだ。仕事が終わるまでにどうするか決めるって言ってたんだけど、まさか辞めるとはなぁ…」

「あんな言われ方無いですよ。甘いとか、責任感もやる気も無いとか…遅番やった事無い奴に言われたく無いですよ。大体あの人は~~」

口を開いたのはバイトの吉岡くん。

副リーダーとしてミーティングに参加したらしいが、発言権が無く、黙って堪えてたらしい。
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