心の距離
同じ会社に勤めているのに、事務員と作業員と言う違いだけで、彼女と顔を合わせる事が無く、ため息ばかりの日々が過ぎて行った。
桜の花びらが散り尽くしても、彼女の顔を見かける事は無く、彼女と会えるのは夢の中でだけ。
母さんは毎日顔を会わせ、彼女と話をしているらしいが、彼女本人から聞きたい事も話され、気持ちは沈んでいくばかり。
雨の降りしきる季節が来たせいで、屋外の作業が滞ってしまい、帰りの時間も遅くなっていた。
仕事を終え、渋滞のせいでビクリともしない車を運転していると、助手席で報告書を書いている春樹さんが話しかけてきた。
「最近また元気無いな」
「…最近、帰りが遅いですから」
「うちの嫁も同じ事言ってるよ。たまにはどっか連れて行くかなぁ…あ、お前さ、車買う気無いか?」
「車ですか?」
「うちの嫁、悪阻が酷くて仕事辞めたんだよ。子供生まれるし、車2台はキツくてさぁ…ミニバンで良かったら買わないか?去年買ったばっかだし、嫁の車だからあんまり乗って無いんだ」
「買おうかな…」
「今答え無くて良いよ。出来れば夏までに決めてくれ」
「わかりました」
桜の花びらが散り尽くしても、彼女の顔を見かける事は無く、彼女と会えるのは夢の中でだけ。
母さんは毎日顔を会わせ、彼女と話をしているらしいが、彼女本人から聞きたい事も話され、気持ちは沈んでいくばかり。
雨の降りしきる季節が来たせいで、屋外の作業が滞ってしまい、帰りの時間も遅くなっていた。
仕事を終え、渋滞のせいでビクリともしない車を運転していると、助手席で報告書を書いている春樹さんが話しかけてきた。
「最近また元気無いな」
「…最近、帰りが遅いですから」
「うちの嫁も同じ事言ってるよ。たまにはどっか連れて行くかなぁ…あ、お前さ、車買う気無いか?」
「車ですか?」
「うちの嫁、悪阻が酷くて仕事辞めたんだよ。子供生まれるし、車2台はキツくてさぁ…ミニバンで良かったら買わないか?去年買ったばっかだし、嫁の車だからあんまり乗って無いんだ」
「買おうかな…」
「今答え無くて良いよ。出来れば夏までに決めてくれ」
「わかりました」