心の距離
…電話に出るだけの彼氏?相手って男だよな?それってちょっと酷くね?つうか、何でひろちゃん?…

「無理ですよね…すいませんでした…」

うつむきながら小さく呟く彼女。

右手を差し出し、彼女に告げた。

「携帯貸して」

「あ、ありがとうございます!」

嬉しそうに笑いながら携帯を渡され、少しだけ腹を括りながら携帯を耳に当てた。

「もっし?ことみ?今何処に居るの~?みんな待ってるよ?」

意表をつく女性の声に、言葉を失ってしまった。

祈るように胸の前で手を組む彼女。

大きく深呼吸をし、電話の相手と話をした。

「もしもし?ことみ?聞いてるの?」

「あのさ…ことみ、今風呂入ってるんだけど…」

「え?その声ってサトくんじゃ無いよね?」

「サトくん?違うけど…」

「つうか誰?」

「…ことみの彼氏?」

「マジで!?彼氏なんかいらないって言ってたじゃん!せっかく男集めたのに!アイツ超嘘つきだよ!マジムカつく!」

「あのさ、ことみの事、悪く言うの止めてくれないかな?気分悪いんだけど…」

「ホントの事じゃん!昔っから付き合い悪いし、すぐ嘘つくし!」

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