心の距離
煮え切らない気持ちのまま出勤時間を迎え、ヒデと話しながら会社に向かった。

会社に着き、事務所に入ると、ことみちゃんは既に仕事をしていた。

社長とヒデが居るせいで、彼女に近付く事は出来ず、小さくため息をつきながら事務所にあるソファに腰掛けた。

ぞろぞろと事務所のソファに集ってくる招集されたみんな。

ずっとヒデが着いて居た、監督の島崎さんが出勤して来ると、彼女は事務所を離れ、島崎さんが僕に切り出した。

「よう。久し振りだな。色男」

「何で色男なんですか？」

「聞いたよ。彼女が出来たんだってな！」

「違いますよ。あの子、みんなに嘘ついてたんですよ。何で話した事も無い子と、付き合わなきゃいけないんすか…どっちかって言うと振った側だし。マジ面倒臭ぇ…」

「そうなのか！？確かにひろみちゃんって、ちょっとぶつかっただけでも『骨折れた！』って騒ぎそうだもんな…」

「ひろちゃんはそんな子じゃ無いです！」

突然耳に飛び込んだことみちゃんの怒鳴り声。

トレーに乗ったアイスコーヒーが零れそうな程、小さく手を震わせながら顔を赤くし、怒った表情を見せる彼女。


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