心の距離
黙ったまま抱き合い、酔いが覚めると共に、彼女は落ち着きを取り戻し、大きく深呼吸をした後、胸に顔を埋めながら告げてきた。
「ありがとうございました」
「何がですか?」
「胸、貸してくれてありがとうございました」
「いえ…俺で良かったら、いつでも貸しますよ」
「…ありがとうございます。もう少しだけ…お借りしても良いですか?」
「勿論。…ヒデの代わりにして下さい」
「…何でヒデくんが出て来るんですか?」
「ヒデ…くん?」
…俺は田辺さんなのに、ヒデはヒデくんなのか。やっぱり気になる人ってヒデなんだ…
酔いが覚めたせいか、凄く些細な事に反応し、強引にキスをしてしまった事を後悔した。
「…キスしてごめんね。本当にごめん」
「…謝らないで下さい」
「謝らなきゃいけないよ。本当にごめん」
言葉に反応するように、体を離す彼女。
「…謝る位なら、キスなんかしないで」
冷たく言い放たれ、何も言えずに黙り込んでしまった。
さっきの強引さが嘘のように、完全に一歩引いている自分。
「本当にごめん。…もう帰ろう」
黙ったまま頷き、鍵をかける彼女。
口を聞く事も無く、いつもの信号で別れた。
「ありがとうございました」
「何がですか?」
「胸、貸してくれてありがとうございました」
「いえ…俺で良かったら、いつでも貸しますよ」
「…ありがとうございます。もう少しだけ…お借りしても良いですか?」
「勿論。…ヒデの代わりにして下さい」
「…何でヒデくんが出て来るんですか?」
「ヒデ…くん?」
…俺は田辺さんなのに、ヒデはヒデくんなのか。やっぱり気になる人ってヒデなんだ…
酔いが覚めたせいか、凄く些細な事に反応し、強引にキスをしてしまった事を後悔した。
「…キスしてごめんね。本当にごめん」
「…謝らないで下さい」
「謝らなきゃいけないよ。本当にごめん」
言葉に反応するように、体を離す彼女。
「…謝る位なら、キスなんかしないで」
冷たく言い放たれ、何も言えずに黙り込んでしまった。
さっきの強引さが嘘のように、完全に一歩引いている自分。
「本当にごめん。…もう帰ろう」
黙ったまま頷き、鍵をかける彼女。
口を聞く事も無く、いつもの信号で別れた。