COL'【桃】ひ・み・つ☆桃色恋 †with響紀様†
 昼休みもあと少し。

 あたしたちは、校舎の裏庭に無造作に咲かれているコスモス畑の前に来ている。

 「ごめんなさいね、貴重な休み時間なのに」

 「いえ」

 あたしなんかより、ずっと忙しい貴女に言われると恐縮します。

 「単刀直入に言うわね」

 ゴクリ。

 覚悟を決め、生唾を飲み込んだ。

 「貴女が椿に何を言われて手伝いに来たのかは知らないわ。でもね、椿を一番に想っているのはこの私。後から来て横取りだけはしないで頂戴ね」

 えっ!?

 「私ね、椿が好きなの。これは誰にも負けない気持ちよ」

 しょ、衝撃すぎです。

 こ、心愛さんまでもが。

 「あ、あの……こんな事言ったら不謹慎かもしれないですけど、心愛さんを応援しています」

 チクッ、チク。
 
 「それじゃ?」

 「あたしにとって、椿さんも心愛さんも憧れの人ですから」
 
 瞳子、それでいいの?

 「ありがとう」

 心愛さんの笑みを見ていると応援したいはずなのに、これでメデタシのはずなのに。

 胸がズキズキする。

 どうして?

 彼女は嬉しそうに去って行った。

 いつも痛い視線はそういう意味だったのね。

 納得している自分と納得したくない自分。

 あたし、椿さんが好き?

 嘘よ。だって、恋をするなら絶対イケメン男って決めていたのに。

 椿さんだってカッコイイよね?

 それは、そうだけど。

 恋をするのは異性だけって誰が決めたの?

 それは……

 心愛さんだけに託していいの?

 …………
 …………
 …………

 ダメ!!

 あたしだって負けないわよ。

 でもどうしよう。

 やっぱり応援できませんなんて言えないよ。

 どうしたらいい?

 授業が始まるチャイムが遠くで鳴っている気がする。

 ハハ(笑)

 学級委員がサボっちゃったよ。





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