COL'【桃】ひ・み・つ☆桃色恋 †with響紀様†
<side 瞳子>

 芽生えた気持ちを打ち消すかのように、毎日忙しく充実した日々を送っている。

 あたしたちは、雑務を主に頼まれているの。

 必要な文具を買いに行ったり、印刷物を先生に渡したり、

 あとはみんなからのアンケートの集計が多いわね。

 でも、この活動も文化祭が終わったらあたしたちお手伝い組に用はなくなる。

 いつもの落ち着いた生活に……戻りたくないよ。

 やっぱり気持ちを伝えない事には終われないよね。

 「瞳子ちゃん、元気がないようだけど具合でも悪いの?」

 えっ!?

 トボトボ歩いていると後ろから声をかけられた。

 声を聞くだけでも心臓が飛び出しそうになる。

 あたし、重症だね。

 「そんな事ないですよ♪」

 「そう? ところで、今度のお休み予定あるかしら?」

 努めて明るく振舞ってみたけど、椿さんはお見通しなのかしら。

 「今のところは何も……」

 「良かった。生徒会メンバーで解散会を兼ねてね遊園地に行く事になったの。貴方たちも手伝ってくれているから一緒にどうかと思ってね」

 解散会という言葉に胸が痛む。

 「あたしたちも良いんですか?」

 「もちろんよ」

 「行きます!!」

 まだ、最後のお別れって訳じゃないものね。

 「それじゃ、今度の日曜日9時に駅集合ね」

 思い出を作るなら楽しいほうがいいに決まっているわ。

 それなら、あと僅かな時間、有意義に過ごさなくちゃね。

 椛(もみじ)がひらりと落ちてくる。




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