COL'【桃】ひ・み・つ☆桃色恋 †with響紀様†
 合流してからジェットコースターにバイキングと絶叫系のオンパレード。

 それに加えて先輩方が一人ずつあたしとペアを組んでくる。

 あたし、借り物競争の物ですか?

 「瞳子ちゃんが一緒に回ってくれると活力になるものね」

 なんて口々に言っている。

 活力って、二歳離れているだけなのに。

 だけど、今空っぽの心のあたしには丁度いいかもしれない。

 余計な事を考えないで済むものね。

 刻々と静かに時だけが刻まれる。

 「ねぇ、帰りにドーナツ食べに行こうよ」

 「あ、いいね♪」
 「私はパス。今ダイエット中」

 先輩方がこの後の行動を会議中。

 「椿は?」

 「ごめんなさい、私も用事があるの」

 「そっか。じゃ、今日は解散だね。瞳子ちゃん、後少しの間お手伝い頑張ってね」

 柿崎さんにお願いされ、元気いっぱいに答える。

 ふと気が付いたことが一つ。

 いつもキラビヤカなオーラであたしたちを引っ張ってくれる椿さんの背中が小さく見える。

 あたし、椿さんの力になれないかしら?

 一人ずつ順にゲートを潜る。

 椿さんがゲートに差し掛かる前に――。

 「ど、どうしたの?」

 突然のあたしの行動に動揺しているかのよう。

 「椿さん、今だけでいいです。少しだけこのままでいさせてください」

 「え、ええ」

 やっぱり困るよね。

 あたしは今、椿さんの背中から腕を回し腕に少し力を入れている。

 彼女は振り返る事なく、前に組まれたあたしの手を握ってくれた。

 もうこれだけで十分。

 「あたし、椿さんの事……憧れとかじゃなく……好きです」

 だけど、心の中の想いに反して口が勝手に告ぐんでいた。

 彼女は何も言わないまま空だけをみているのか、顔を上に上げていた。

 「私は女よ。瞳子ちゃん、普通の恋しなよ」

 「普通の恋、してます。人が人を好きになるのに、男女を選ばなければ……ダメですか?」




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