幼なじみセンチメートル
「カゼって恐いものとかなさそうだよね。お化けとか幽霊とか大丈夫でしょ?」


「………うん。逆に見てみたい」




次の日の夜。

肝試し会場の山に向かい、カゼと順番待ちをしながら話していた。




「じゃあカゼは何が恐い?」

「………小骨?」

「小骨!?」

「………小さい頃、喉に刺さったから」




ふ…ふーん。



何か恐いの意味が違ってるけど。



まぁいいか。





「カゼが驚いてたり怯えたりするの見た事ないもんね」


「………俺、驚くよ?」



そうなのか。


基本、カゼはポーカーフェイスだから分からないだけなのかな。





「北山くん!もうすぐ私達だよ」

「くっつくな!鬱陶しい!!」



イノリと静の声が聞こえたので顔を上げると、2人が仲良くハシャいでいるのがカゼの肩越しに見えた。




「………」



カゼは気を利かせてくれたのか、私に壁になるように体を傾けた。




「…私ね、別にイノリとペアになりたかったんじゃないんだ。ただ、あぁやって誰かと2人でいるイノリを見たくなかっただけなの」



何かの弾みで

誰かにイノリを取られてしまったら。

イノリが誰かを好きになってしまったら。




それが心配で

その心配が私の心を醜くさせる。
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