幼なじみセンチメートル
「もー嫌っ!!仕掛け見る度、笑わないでよ!」


「だって先生達、頑張り過ぎ」



出口から出て来たのは、何故か怒っているカンナとお腹を抱えて笑っているケン。




「おかえり、2人共。恐かった?」


「ケンがウザかったわ」


「………それは今に始まった事じゃない」


「どういう意味だよ!カゼ」




カンナの話によると


お化けにふんした先生を見る度、ケンがバカ笑いしていたらしい。




それじゃあ肝試しのムードが台無しだね。




「だって、超必死になってお化け熱演してんだもん。ありゃ笑うって」


「肝試しで笑う人なんかいないから!」




あっ…


でも笑いながら歩いてれば、恐くないかも?




「………キヨ、俺らの番だって。行こう」


「キヨ、ビビって失禁すんなよ」



さっきまで静とイチャイチャしていたイノリが、いつの間にか隣に立っていた。




「しないよ。もう高校生だもん」


「どうだか。しょっちゅう俺の背中で小便垂れてたのは誰だったかな〜」


「小学生までの話でしょ!!」



確かに昔はよく、おんぶして貰ってる最中にお漏らししてたけど…




「………暗闇、恐怖、思春期の男女、2人っきり…」



突然、イノリにジリジリ歩み寄りながらカゼがブツブツ呟き始めた。





「何だよ!!気持ちわりぃな」


「………人間は恐怖を共にした異性を好きになる。恐いドキドキをトキメキと勘違いするって、何処かで聞いた」




うん。

私も聞いた事あるけど



例え素敵な人が命懸けで守ってくれても

甘い愛の言葉を囁いてくれても

どんなにドキドキしようとも



イノリがくれるドキドキには、何ものも敵わないと思う。
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