幼なじみセンチメートル
私って、バカなのかも。



バカっていうか…惨め。




「カゼは気の多い奴だな。キヨにまで手ぇ出す気かよ、物好きな」



スタスタと何処かに行ってしまうイノリの背中を見つめながら、カゼと共に肝試しの入り口に向かい、中に入った。





山に生い茂る木々の間に出来た細道を、月明かりだけを頼りに歩く。


辺りは虫の声だけが響いている。



…本当に、何か出そう。





「………あはははは」


「ひゃっ!?」



突然、カゼが笑い出した。


しかも無表情で。




「………ははははは」


「カゼ?」



ある意味、お化けより恐いよ。



「………笑えば恐くない。ははははは」



全然楽しそうじゃないカゼの笑い声を聞いてたら

本当に可笑しくなってきた。




「ぷっ…あはは!そうだね、笑おっか!あははははぎゃーっ!!」

「………はぎゃー?」




笑ってたら目の前に、包帯をグルグル巻かれた人形がドサッと落ちてきた。




「………テディベア」



カゼは落ちてきた人形の包帯を解いて、正体を確かめた。




テディベアをお化けに見立てるなんて、先生達手抜いたな。




「コラー!備品を壊すな!!」


「ギャー!!口裂けオヤジ―!!」


「………キヨ、先生だよ」



草むらから飛び出してきた、白塗りメイクを施した先生に怒られ、カゼと一緒に解いた包帯を巻き直した。



遠くからは、生徒の悲鳴が時折聞こえてくる。
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