幼なじみセンチメートル
「カゼ!早く行こうよ!!」


「………ばっちこーい」


「やめろ!このアホすけ!!」




おバカなカゼを引っ張っていると

儚く私達を照らしてくれていた月明かりが、何かに遮られた。




「……?」



後ろを振り向くと

目の前に、大きな黒い塊が…




「いっ…ぎゃあああああああ!!」


「ぎゃああああああああ!!」



悲鳴をあげた瞬間、同じような悲鳴をあげた物体が猛スピードで何処かに飛んでいった。




「お前ら、ンな所で何してんだよっ!」

「………幽霊はイノリだったか」

「は?幽霊?」



黒い物体の正体はイノリと静。




お化けじゃなくてホッとしたけど


腰抜けたぁ〜





「柳田さん、一人で走って行っちゃったよ」

「…ああ、追わねぇと」


「………俺が追いかける。イノリはキヨ連れてきて。じゃ」


「おいっ!」




カゼは走って静の後を追い掛けて行った。



…気、遣ってくれたのかな?





「カゼの野郎、キヨのおもりに飽きたな」


「お腹空いたんだよ、きっと」



多分、私をイノリと2人にしようとしてくれたんだろうな。


カゼのことだから。
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