Hurly-Burly 【完】

あたしにしてはすごいスピードだった。

後ろの明香里ちゃんもビックリだった。

後ろから追ってきてないかとか聞きながら、

とりあえず、公園まで来た。

そういえば、この公園前に来たっけ?

「お家はどこですか?」

この子を送って行かないと心配で

寝れなくなっちゃう。

「えっ?」

きょとんとした明香里ちゃん。

「自転車なので送って行きます。」

「そんな、委員長だって危ないよ。」

人の心配をしてる場合か。

殴られたのか頬が赤くなってる。

「大丈夫です、ほら早く帰って

冷やした方がいいです。」

公園の水道を借りてハンカチを

湿らせて彼女の頬に当てる。

「委員長ー!!」

この子は感情豊かな子だな。

ビックリサンだよ。

いきなり飛びついてきて

ドキドキしちゃったじゃないの。

そんな感動してる場合じゃなかった。

「おっ、居た」

それは若い男だった。

ちょっと、気味の悪い男で

髪の色は暗くてよく分からなかったし、

目のギラつきが半端なくて不審者

ってヤツだと瞬時に悟った。

「あ、あの人っ」

そして、いきなり怯えだす明香里ちゃん。

これは尋常じゃない展開じゃないの。

普段、絶対にありえないことじゃないのよさ。

明香里ちゃんが居なければすぐさま自転車

に飛び乗って交番まで逃げる。

けど、根が足に付いたかのように動かない

明香里ちゃんを前に逃げることは得策じゃ

ないらしい。

外灯が当たるあたしの場所からでは

その男の表情は見えないけどハイエナ

のごとく獲物を見定める視線を感じた。
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