Hurly-Burly 【完】

これが危機的状況。

交番はここから少し離れている。

お巡りさんが巡回する時間帯ってわけ

でもなさそうなこの変な時間。

確かに、明香里ちゃん可愛いよ。

だけどさ、ちょっと待ちたまえ。

あたしが居ること忘れてないか?

あの若者はもう目の前に居る明香里ちゃん

にしか目にないらしい。

く、糞っ。

このあたしが目に入らぬか!!

もう怒ったさんだぞ。

あたしは容赦せんぞ。

明香里ちゃんには悪いけど、

少しだけ待っててもらおう。

男が明香里ちゃんとの距離を

縮めて来る。

その間にあたしはキョロキョロ

視線を動かす。

どこかにいい感じのがないかな?

「いやっ」

げっ、早いよ!!

どんだけ、飢えてるんだ。

女の子に盛る気持ちが分からんよ。

足早に丁度いい感じのが見つかって

それを手に取る。

い、意外と重いな。

でも、明香里ちゃんのためだ。

心を鬼にしないと。

そして、大きく振りかぶって

若者の後ろからそれを投げつけた。

一瞬のことに明香里ちゃんは茫然だった。

そして、あたしもビックリだった。

まさか、本当にこれで何とかなっちゃう

とは思わなかった。

石とは言えない大きな煉瓦以上の岩を

背中に投げつけたのである。

そして、気絶したひょろい若者。

急いで、茫然としてる明香里ちゃん

を自転車に乗せて交番まで駆けこんだ。
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