Hurly-Burly 【完】
もう力強く抱きしめられて力が入らない。
別に嫌だとも思わなかったから、
そんなナル君を見つめた。
「ナル、ヒヨリちゃん死んじゃうよ。」
馨君が止めようとするけど、手を出して
首を横に振った。
「ナル君、ありがとう。
あたし、あんまり人に頼むのって
得意じゃないんだ。
でも、すごく心配してくれて
嬉しいよ。
次なんてないと思うけど、
呼んでもいいかな?」
震える腕を見たらどれだけ
心配してくれたんだと自惚れちゃう。
「うん、どこに居ても絶対行く!
絶対、守るんだからな。
ヒヨリンのためならどこに
だって駆け付ける!!」
目を潤ませて顔を上げる
ナル君のキャラメルハニー色
の髪に遠慮がち手を伸ばす。
「ありがとう。」
心から感謝するよ。
心配されるのって何だか嫌だった。
父さんにも母さんにもさせたくなかった。
ナル君の頬が真っ赤に染まる。
にっこり微笑んだ瞬間ナル君が
あたしのお腹に顔を埋めた。
「えっ、ぶ、不気味だった?
あたし笑う練習した方がいいかね!?
そんな見たくないほどだった?」
ナル君が真っ赤になった頬のまま、
顔を上げる。
「ヒヨリン、可愛い。」
そして、ボソッとそう言った。
いや、悩殺する気!?
ナル君の可愛さにノックダウン寸前
なのに、またもやアッパー繰り出して
きちゃったよ。