Hurly-Burly 【完】

母さんが住んでるアメリカにまで着いて

行ったり本当に苦労性の人だと思う。

多分、振り回されっぱなしだ。

「とても、元気ですよ。

お、日和様のことをうわ言のように

呼んでいる日もあります。」

母さん、たまに電話掛けられないほど

忙しい日もあるからね。

だから、こうやって電話をしてくれる

大和さんは優しくて頼もしくていい人なんだ。

「ふふっ、母さん寝相悪いのに。

大和さんも気を付けてね。

あたし、よく蹴飛ばされたもの。

父さんなんて骨折したことがあるのよ。」

ああ、懐かしいな。

遠い日のあの記憶。

途切れ途切れの古い記憶を思い出す。

「それは気を付けないと。」

クスッと笑うあの優しい大和さんの

顔を思い出す。

「おじょ、日和様。

学校はどうですか?」

母さんの娘だからわざわざこんな小娘に

お嬢様と言おうとする大和さんは完全

無欠の執事兼秘書を担ってる母さんの

仕事のパートナー。

「うふふっ、大和さん。

無理しないでね。

母さんの無茶に疲れちゃったら

いつでもここに戻ってきていいんだからね。」

スーツ姿で毎日忙しく働く彼を思い出す。

文句一つ言わずに突然アメリカに行くと

言い出した母さんに着いて行って苦労

ばかり掛けたと思うと本当に頭が上がらない。

あたしの母さんの突拍子もないことに

毎度付き合いそのたび尻拭いまでして

本当に母さんより断然若くて落ち着いた

大人な人であたしは安心して母さんを

任せられる。

あの人、すごく寂しがり屋だから。
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