Hurly-Burly 【完】

結局、どこを探しても見つからなかった。

本当にあたしはシングルマザーにならなきゃ

いけないのかもしれない。

夕焼け色に染まる館内から出るべきかも

しれないと思った。

お母さんがこの子を置いて帰るわけない。

出口で待ってればこの子を迎えに来て

くれるのではないか。

そう思って、自動販売機でジュースを

買って男の子に手渡したけどすっかり

元気をなくしてしまっている。

出口からトボトボ2人で出ると、

「・・・日和っ」

真っ先にサユの声がした。

それに一斉に振りかえられた。

すっかり忘れてた。

必死にこの子のお母さん探して

あげなきゃって思ってたから

頭からすっかり抜け落ちてた。

「あははっ、ごめん。

すっかり忘れてた、後さ、あたし

シングルマザーになるかもしれないや。」

あたしの言葉にすごい視線を浴びた。

もう穴が開くような鋭いもんだった。

「何言ってんのあんたってその子は?」

サユの視線の先には怯えた男の子。

しっかり握った手であたしを掴む、

握り返してやると男の子があたしを

見つめた。

「お姉ちゃん?」

心配にもなるよね。

「大丈夫だよ、お姉ちゃんと一緒に

待ってようね。きっと迎えに来てくれる。

それまで一緒に居よう。

お母さんが来てくれるまであたしが

お傍に居てあげるから。」

だから、泣いちゃ駄目よ。

君の笑みがみたいんだから。

さっきみたいに可愛く笑って。

絶対に絶対に見放したりしないから。

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