Hurly-Burly 【完】

うんって頷いて笑うその子のキューティーさ

と言ったらもうあたしもサユも虜になるほどだった。

この子の親は一体どんな顔をしているのかしら?

きっととても可愛い人だわ。

「ジュース」

男の子があたしの膝にちょこんと座り、

ジュースを開けて欲しいと可愛く強請られた。

「っで、その子どうしたの?」

サユが男の子に手を伸ばそうとしたら、

ぎゅっと目を瞑って怯える男の子。

サユが手を引っ込めてしまうところを

あたしが引っ張って男の子の頭に乗せた。

「さーちゃんって言うんだよ。

お姉ちゃんの一番大事な友達だから、

君にもとっても優しくしてくれるよ。」

そう言うと男の子はサユに笑いかけた。

「あんた、修平にもすごい好かれてた

もんねー。」

その子の頭を撫でると擽ったそうに

男の子が笑った。

「へっ、そうだっけ?」

ジュースの缶を開けて男の子に渡す。

プルタブを手に掛けると甘いフルーツ

の香りにヨダレが出そうだった。

「そうだって、あたしより懐いてた。」

どうだかな。

修平君、難しい子だったよ。

「ねぇ、結局その子どうしたの?

まさか、本当にヒヨリンの隠し子?」

慌ててダイナマイトユウヤがナル君

の口に手を当てる。

「あたしに隠し子が居るわけないよ。

丁度、逸れた時に出会ったのだ。」

悪いけど、あたしに隠し子なんて

居たらとんでもない惨事だね。

子どもを産む痛みはまだ知らないぞ。

「僕、お姉ちゃんの子供になりたくないな。」

こ、この子め。

さっきはなるって聞いた時頷いたじゃねぇか。

すごい早い切り替えだな。

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