Hurly-Burly 【完】

どうして、そんなことになったのかなんて

思い出したくもない。

「分かった、それは困るからね。」

その微笑みに余裕を感じているみたいで、

冷や汗を流した。

「半径1m以内に入って来ないで。」

人と言うのは必死になると周りが

全く見えないことだと思う。

右から誰かが近づこうだなんて

これっぽっちも気付いてなかった。

「そんなところに立たれても

困るからさ。」

そう言われてもあなたの対応に

すでに困ってる。

「触らないで下さい!!

変態、痴漢、セクハラ、変人、・・・」

とりあえず、言えるだけのところまで

頑張ってみたけど離れる気配すらしない。

「それ、若干傷つく。」

傷つけ!!

心折れろ。

「ひゃっ」

腰に回された手が緩む。

一瞬でソファーに引き込まれて

身体が浮いてバランスを崩した。

その隙に身体を拘束するかのように

抱きかかえられた。

「いい匂いがする。」

この人、絶対変質者!!

「死んだ方がマシです。」

背後から回る手は長くて、

こんなことお父さんにしか

されたことなかった。

「委員長だよね、俺のこと怖くない?」

そりゃ、ある意味怖いです。

別の意味で怖いと叫びたいです。

くんくん首に顔を埋めて嗅がれる

と気を失いそうになるぐらい恥ずかしい

気持ちでいっぱいになって気が付いたら

引っ叩いていた。
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