Hurly-Burly 【完】
腰抜け気味で即座に間合いを取った。
そして、鼻を押さえて夕日に叫ぶ。
「せ、セクハラだー!!
これは立派なセクハラだ。」
経験値の少ないあたしは負け犬の遠吠え
のごとく吠えた。
実に遠くまで響いたと思う。
「おめーが言ってきたんじゃねーの。
何、その気でもあった?」
く、糞っ!!
この男、調子に乗りまくって。
「やめろよ、伊織。
ヒヨリンに変なことするなっ。」
な、ナル君、君は救世主だよ。
エンジェルプリンスだよ。
「はっ、鼻血が出たではないか。
伊織君なんて10年後毛根が死んで
ハゲの仲間入りになってしまえっ。」
てぇやっと伊織君のモカブラウンの
頭にチョップする。
ナル君を小脇に抱えてダッシュして、
サユの元に駆け寄った。
「いってぇー」
そう頭を抱える伊織君をギョッと見た。
あたし、そんなに強くチョップして
ないよね。
軽くポンってしただけだよね。
お、オーバーリアクションするなよ。
「ひよこのお嬢、マジでいてぇーんだけど、
どうしてくれんだよ。
俺が本当に10年後ハゲになったら、どう
責任とってくれるわけよ。」
追っかけてきたし。
マジ、フェロモン仕舞え。
あたしに振りまくな。
それは毒ガスと一緒だからな。
「な、ナル君吸っちゃ駄目よ。
あれが毒。見てはイカン。」
ナル君の両目を塞いで逃げるのだった。