Hurly-Burly 【完】

はっはっと笑う男たちなど気にしてられなかった。

「俺は半殺しって聞いたぞ。」

世にも恐ろしい会話を炸裂させても、

どうしても目の前に居るちぃー君を

守ってあげなきゃと思えて気が付いたら、

ちぃー君の頭に手を伸ばしていた。

両手でちぃー君の頭を抱きしめた。

あたしの小さな懐でも我慢してもらおうと

そう思って優しく背中を撫でた。

「ちぃー君、大丈夫。

あたしがついてるからねっ。」

小さな声で精一杯の励ましを口にした。

誰が何と言おうと今はあたしがちぃー君

を守るんだ。

「つうか、あそこの地区は何かと揉め事

あんだとー。」

オレンジブラウンの髪をそっと撫でる。

「おいっ、あっちに美人な姉ちゃん居たぞ。」

バタバタと通り過ぎるまでだ。

「面倒だしそっち行くか。」

通り過ぎていく足を何度見つめれば

良かったのか分からない。

ただ、決してちぃー君の頭を上げる

ことだけはさせなかった。

拳を強く握りしめるちぃー君を宥める

ように頭を優しく撫でた。

何と言われようと我慢をするしか

なかったと思う。

「もう大丈夫!」

足音が散々通り過ぎて行った後に、

ちぃー君を放すと何故か逆にさっき

のように後ろから抱きしめられた。

「あ、あのー?」

消え去りましたが・・

「お前、小せぇな。」

それを今言うあんたの気がしれないよ。

さっきまで何かに怯えてた癖にもういつも

どおりのボケーとした顔しちゃってさ。

どういうことなのよ。

あたしの苦労はどうした?
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