Hurly-Burly 【完】
いくら何でもと思いながら顔を真っ赤にした。
今のは一体何を・・・
いや、考えるのやめよう。
駄目だっ、変な妄想に辿りついてしまう。
ほっぺをボコ殴りするあたしを横目で、
フッと笑うちぃー君があたしの手首を掴む。
笑ってればいいのに。
いつもボケッとしてばっかりでちぃー君の
笑みを見たのはそれが2回目だった気がする。
初めて会った時以来だった。
電話に出ていつものような適当そうな声で
喋ってるちぃー君。
良かったのかもしれない。
お節介じゃなかったらいいな。
あの時、ちぃー君を励ませられたのなら
それで良いってことにしよう。
電話を片手にあたしの右手を引っ張りながら
歩き出すちぃー君。
あまり頼もしいと思ったことはないけど、
その背中は大きく見えた。
「んー、・・・・ああ。」
とにかく、ちぃー君。
その返事はないと思うぞと思いながら、
手を引かれるままに付いて行った。
「馨、タヌキなんて見えねぇーぞ?」
どういう会話をしているのか知りたいぜよ。
歩道を歩きだしてから数十分。
電話したままの迷子か!?
大体、タヌキってあれじゃ・・・
そうそう、あそこの可愛い銅像。
サユと一緒に撮った写真のさ。
「ヒヨリンっ!!ちぃー!!
こっちだよー!!!」
ナル君、それ隠れてるの?
大きな声出しちゃ意味ないじゃん。
そんなナル君の口を塞ぐ金髪ライオン。
地面に座り込む他のメンバー。
見つからなかったんだね。
何か、すごい安心したわ。
ちょっと、心配だったんだよ。