Hurly-Burly 【完】
少しだけ、付き合ってあげよう。
高校生活でも楽しみたい。
勉強はもうしなくていいだろうから。
「そして、お尻が痛いっ」
涙目でお尻を擦る。
今のはとんでもない衝撃だった。
あたしのお尻がぺったんこになって
しまったらと思うと・・・
「やっぱり、日和ちゃんは優しい。」
馨君はさらに優しく笑う。
「よく言われる。」
また歩き出したみんなに遅れを取らない
ように歩く。
それでもあたしの歩幅に合わせてくれてる
気がして嬉しかった。
あたしなんかよりもみんなの方がずっと
優しい気がした。
「馨、もう少しじゃねぇか?」
やっぱり、楽しいかもしれない。
高台に上るみんなを必死になって
追いかけるあたしに馨君はゆっくりで
いいよと一緒に歩いてくれた。
「ここ、有名なスポットらしくて。」
馨君がクスリと笑う。
ま、まさか、心霊現象の?
「か、帰るっ。」
そんなところに連れて行くなら
最初から断ってた。
怖がるあたしに馨君が膝をついて
手を差し出す。
「一緒に行こう。」
馨君は紳士過ぎる。
そんなことされたら行かなきゃいけない。
「・・うん。」
馨君の手を掴むと馨君は満足そうに笑った。
最近、想うことがある。
表面上はみんなああやって怖がられるけど、
実はすごく繊細な気がした。
笑うのもあたしみたいに作り笑いが多いけど、
本当に笑う時は普通の男の子だ。