Hurly-Burly 【完】
階段を上りきるとその景色の良さに感動して、
腰が抜けた。
「これはサユに見せたかった。
写メっておこう!
ダディにも見せないと!!」
広がる360度が綺麗な夜景で、
こんなところに連れてきてくれた
ことに本当に感謝だった。
「良かった、日和ちゃんにはいつも
遊んでもらってるからお礼がしたかったんだ。」
馨君が手すりに腰を預ける。
「そんな、こちらこそ。
あたし、毎日ちょっと放課後が楽しみだったし。」
よっちゃんやもっくんとか不良メンバーズの
みんなが逆にあたしと遊んでくれてた。
「ありがとう。」
その時、みんなからの優しい視線を受け取った
気がして感動した。
馨君のお礼はすごくすごく心に響いた。
「あたしこそ」
だから、笑いかけた。
暗くて見えにくくても良かった。
みんなのお陰であたしは世界を広げられた
気がしたからだ。
遠ざけていた心の解放も全部。
諦めかけてたことを気付かせてくれた。
そんな時、ちぃー君の様子が少し変わった。
さっきとは違うような気がした。
そんな些細な様子すら見逃さなかった。
だから、ちぃー君が見下ろしてる先を
見た瞬間何故かイラっとした。
「それで、日和ちゃん・・」
馨君の話が続く最中あたしはポケット
のオレンジジュースのプルタブを引っ張った。
ゴクリゴクリと一気飲みをしたあたしに
全員の視線が刺さったけどそんなことは
どうでも良かった。
とにかく、腹が立ったのだ。
ムカムカMaxだったのでとりあえず、
その缶を空っぽにしたかったのだ。