Hurly-Burly 【完】
まさに無くなったオレンジジュースの缶を
大きく振りかぶった。
「お、お、おおおおいっ」
ユウヤがギョッとしながらあたしを抑え込もうと
するからギロっと睨んだ。
「放せ!!あたしは納得出来んのだ。
すごいムカつくということを覚えたんだ。
ちぃー君はそこで見とれ。
そして、みんな影にでも隠れてれば良いさ。」
ユウヤの手をすり抜けて大きく振りかぶった
缶をその遥か遠くに見える背中に命中させる。
「いってぇー、何だ?」
そして、振り返るその瞬間あたしも隠れた。
「今、何かぶつかったような気がすんだけど?」
「はぁー、おめー馬鹿だから電柱にぶつかった
んじゃねぇーの?」
そうだ、そうと思え。
「ぎゃははは・・・」
ユウヤの口を押え込む睨んだ京様。
「しっかし、今の何だよ。
魔球が飛んできたかと思ったんだけどよー。」
さっき、ちぃー君が怯えてた時に一瞬
見えた背中だった。
「気のせいだろ、ほら、早く歩けよ。
つうか、俺も単車買い替えてぇーわ。」
結局、文句の一つも言えなかったことには
悔しさが残るが背中に痣が出来るほどの
剛球を受けたであろうあの男に鼻で
笑ってやったさ。
何という大馬鹿者なのだろうか。
「おめー、見つかったらどうしたんだよっ。」
「その時はあそこの岩を投げつける。」
慶詩が肩をユラユラ揺すってくる。
「馬鹿かっ、てめーは考えもなしに!!」
「怪力使ってんじゃねぇーぞ。」
はぁー、ごちゃごちゃと煩いな。
「ちぃー君、気分はどうだね?
あたしは最高に良いぞ。」
強そうに見えないね。
確かに見えないよ。
だって、あたしには超絶のイケメンに
しか見えないもん。