Hurly-Burly 【完】
ふわりとまた風が前髪を攫った。
風にも負けないぐらいのふわりと
した超絶美形の笑みに呼吸を忘れた。
フッと笑って同じオレンジジュースの
缶を開けるちぃー君にみんなで釘づけ
だったと思う。
「お前、怖いもんなしか?」
いや、怖いものはある。
例えば、幽霊とか見たことないけど
心霊現象の番組とかは絶対に一人で
見れなくて。
「あるとも!」
だけど、目の前に立ってるちぃー君は
怖いほど超絶美形だ。
オレンジジュースを飲み干すと、
ふわりと風が舞うようにあたしの
手を引っ張った。
「のわっ」
腕に閉じ込められるというのは本日
何度目だろうか?
「ぎゃっー、出た!!
変質者だ。これは立派な変態行為だ。
誰か、110番を押してくれ。」
喚くあたしにクスリと笑うビューティーフェイス。
ヤバい、この人無自覚入ってる。
「半径1m以上近づくな」
てやっと、腕をすり抜けて馨君の
背中に隠れる。
「お前、可愛いな」
そんなことサラッと言うな!!
これは恋愛要素の入った漫画じゃ
ないんだぞ。
「きぃぃぃぃぃっー、腹立たしい!!!」
その顔が憎いぜ、この野郎。
「馨、よこせ。」
もう、何なの!?
大体、あたし何も可愛らしいことしてない
と思うんだけど!!
ただの暴力的な行動に出ただけだし。
意味分からないのだけども。