Hurly-Burly 【完】
はぁー、結局火曜日の朝。
朝からグレチャー相沢に呼び出し食らって
気分ガタ落ちだ。
テンションなんて半端ないほどの落ち込みようだ。
「早く、終れ」
そんな独り言も無防備に呟く。
大量の個人データをこんな無知な女子高生
に持たせて悪用されるとか考えたことが
ないあの人は悪魔でなければ間抜けな大魔王だ。
しかも、階段上るとか至難の業過ぎて泣きそうだ。
あの人転んだところを陰で笑うタイプの人だ。
陰に誰も居ないことキョロキョロ見渡す。
朝、早いから誰も居なくて静寂な廊下も
階段も普段じゃ考えられない。
いつもは人がごった返しているぐらい
廊下も階段もイカツイ兄ちゃんたちが
溜まり場のように占領している。
この学校で正常な生徒が20パーセント
居るかどうか悩ましい。
階段を確かめつつ上るあたしの姿は
滑稽この上ないと思う。
慎重に転ばないように手さぐりならぬ
足さぐりする女子高生なんて今のこの
ご時世居るのか市場調査したい。
そんな可哀想な人が居たらぜひとも
数少ないあたしの友達にしたいものだ。
ズンズン進んでた階段も終わりを告げる
後一段であたしはついに恐れていた事態
を引き起こした。
華麗に個人データーがひらひらと手元
から滑り落ちる。
足元が狂って後ろにマトリックス状態
のまま階段から転がりそうだった。
おむすびころりんしちゃうところだった。
美味しくないおむすびだろうと思う。
「大丈夫?」
キラキラフェロモン全開ウルトラハイパーで
全開の笑みを向けるこの人どこかで見たこと
あるような気がしなくもない。