Hurly-Burly 【完】

みんなそれなりに交代しながら送られたけど、

ちぃー君だけはなかった。

よくよく考えると何故かちぃー君だけ待遇よく

て変な気がする。

学校の子もみんなが通る時は避ける。

上級生ですら頭を下げるってどうかしてると

最初は思ったものだ。

みんなの関係がよく分からないかもしれない。

そんなに知らないし、よく考えて見たら

簡単に縁は切れる距離なんだ。

「・・・暗くなったら外出るな。」

ちぃー君が小石を蹴飛ばしながら、

あたしに振り返る。

「うん」

コロコロ転がる小石を見つめながら、

「街奥にもあまり近づくな。

4番街辺りは危ねぇからな。

絶対に行くなよ。」

ちぃー君の言葉をよく聞いていた。

考えて見ればあたしは街奥に行った

ことがないと思う。

この街に暮らしていても行かないところ

は結構ある方で至って安全地区のここに

暮らしていて不便なことは殆どなくて、

行く必要がなかった。

むしろ、街奥がどうなってるかなんて

興味もないほどだった。

「はっ、はっ、行くわけないよ。」

用があるわけでもない。

街奥の用は全くない。

一度だけ、兄ちゃんがまだこの街に

住んでいた時注意されたことがある。

『あそこは危険地区だからな。

日和が行っちゃいけないところなんだぞ。』

その時は絶対行く必要もないし頷いたけど、

ヘラヘラしてる兄ちゃんがすごく真剣だった

ような気がする。

今になったらちょっと不自然だ。

相沢ティーチャーや村田ティーチャーもあそこ

はお前が行く必要ないところだからなって言い切る。
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