Hurly-Burly 【完】

煮ても焼いてもあたしは美味しくない。

身代金狙いっていうのか?

今は誰もお家に居りません。

「連れてきやした。」

そんな言葉を吐くこの人は

一体どうして髪がない?

坊主頭の彼はニカっと人懐こく笑う。

何だ、こんなところあったか?

見知らぬ教室に度肝を抜かれて、

ソファーに下ろされたことよりも

目の間で煙草を平然とふかしている

彼に視線が釘付けだ。

「よう」

さっきぶりだなと言わんばかりに

口元に弧を描く彼に一際嫌な顔を

浮かべたと思う。

金髪ヤンキーはその名の通り煙草を

吸うやんちゃボーイだった。

「そこ、未成年の喫煙は固く禁じられてます。」

法律の意味が全く意味をなしてない。

「校則にそんなの載ってたか?」

載ってないかもしれないな。

そりゃ、常識レベルの話でしょうよ。

「いい加減にして下さい。

さっきの個人データ返して下さい。

あたしはまだやることが残っていて

とてもあなた方に構ってる余裕は

ないんです。」

にっこり奥で笑うナル君。

今日も可愛らしい。

ほっこりとするのは彼だけだ。

大体、昨日学校来てなかった癖に

何故今日来たんだ?

「そう言われても構ってちゃんだしな。」

どうでもいいから他に当たれ。

あたしじゃなくともそこら中に

女子生徒居るだろう。

その子たちの方がまだ愛想よく可愛らしく

お相手願うだろう。

折角だからそうしてもらった方がいい。
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