Hurly-Burly 【完】

この人に何を言っても無駄だと言うなら、

「じゃあ、こうしましょう。

お手伝いして下さいますか?

あたしの仕事をやって下さるなら

ご一緒させて頂きます。」

とことん、扱き使ってやろう。

そんなあたしの企みなど知る由もない

ナル君は目を輝かせる。

「行く!!行く!!」

可愛くはしゃいでる。

何て、無邪気なの。

さすがに罪悪感があたしを襲う。

「はぁー」

胃潰瘍にでもなるんじゃないだろうか?

ため息を吐きながら見知らぬ教室の

高そうなソファーに手を付く。

「幸せ逃げるぞー。」

オレンジブラウンの彼はさっきまで

突っ伏して寝てたのでは?

「っで、何すればいいの?」

可愛いこの子を騙すなんて

あたし酷いことを・・・してやるわ。

「まずはこれを配って頂きたいですね。

その内に花壇に水をやりに行き、

体育館の鍵を開けに行き、

更衣室の鍵を開けに行き、

窓を開けて空気の循環をして

保健室に行って報告、

最後に職員室に行き、

グレ、・・相沢先生に

他に必要業務をお聞きしてひと段落ですね。」

一通りやることを口にしたあたしを

ポカンと見つめるこの人たち。

「ですから、遊んでる場合では

ないのです。」

そして、ソファーから重い腰を

よっこらしょする。

立ち上がったあたしをこれでもかってぐらい

の驚き顔をする彼らが遮るかのように呟いた。

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