Hurly-Burly 【完】
「委員長、毎日そんなに大変なことしてるの?」
それで体が持つの?って聞かれた。
人に心配されて感動・・出来ない。
だったら、人の気を考えて自粛して欲しい。
「ええ、ですから、構ってほしいのなら
他の方にしたらどうですか?」
そして、彼らから個人データを抜き取り
背を向けた。
何故、あたしに構うのかも理解出来ない。
こんな地味なあたしのどこが気に入る
部分があったんだろう?
「委員長、僕が花壇の水やり行きまーす!!」
キュティクルフェイスでにんまりと笑い
手を上げて愉快そうに言うナル君に驚いて
本日二度目の個人データ流失を・・
「やる気ですか?」
絶対、やらないと思った。
だから、半ば諦めさせるために
言ったようなものだった。
「当たり前じゃーん、毎日ってわけ
にはいかないけど、委員長のためにも
こうやって居る時ぐらい力になりたい!!」
この可愛い子をぎゅうってしたい。
「あの・・・」
そんなふうに言われたのは初めてで、
あたしのために力を貸してくれる彼を
少しでも邪険に思ったことに恥じらった。
「ねっ、だから、一緒にやればすぐ
終っちゃうよ?」
そんなおねだりをする子のように
うるうるした瞳を向けられると
途端に母性本能が擽られる。
「そしたら、構ってちゃんだよ?」
どうしてもあたしが構ってちゃんしなきゃ
いけないのかと聞きたかったけどそんな
ことよりも素直に嬉しかった。
「約束は守る主義ですから。」
誰かに音もなく崩されることに
恐怖を抱くようになったのはいつの頃からの
話だったんだろう?
春も緩やかな日差しを心地よく降らせる
この頃確かにある壁を掲げて少しの隙間から
彼らをこっそり観察してみたいと思った。