Hurly-Burly 【完】

馨君がマコ君を黙らせるのはモノの数秒だった。

「いや、ひーちゃんがお世話になりまして。

つまらないものですが、どうぞ。」

菓子折りなんて持ってきちゃったの。

マコ君、さっきの勢いどうしちゃった?

「ひーちゃんってキャラかよっ。」

ケラケラ笑う慶詩にマコ君黙って、

睨みつける。

「あー、でも焦った。

サユがすげー勢いでバイク飛び降りて行くし、

殴られたって聞いた時は頭に血が上ってさ。

ひーちゃん、こんなことは2度とご免だよ?」

頬に張られたガーゼを見てマコ君は苦笑い

を浮かべてサユの背中を優しく撫でた。

「うんっ、ごめんね。

マコ君、サユのことも心配したでしょ?

2倍の苦労背負わしちゃって・・申し訳ない。」

あたしのことを心配するサユを支えてくれて

本当にありがとう。

やっぱり、マコ君以外サユは任せられない。

「日和がってずっと泣くんだよ。

夜中にバイクかっ飛ばしちゃったよ。

ひーちゃんはサユの大事な子だから、

俺にとっても大事なんだよ。」

サユを抱きかかえるマコ君。

「マコ君、ダディはこのことを?」

「知ってるよ。家族全員で心配して

ジッとしてられなかった。

サユの家はひーちゃんの家族と一緒でしょ?」

ダディやマミー、修平君の心配する顔

を思い浮かべると本当に申し訳なくて。

「ごめんねっ、あたしは・・」

誰かに心配されるってことを理解してなかった。

眠れずあたしを心配してくれたに違いない。

ダディのことだからウロウロしてただろうし、

マミーのことだから考えすぎて料理作りすぎて、

修平君のことだからジョセフィーヌにエサを・・

「当たり前なんだ。

ひーちゃんを大事に思って心配することは、

家族だと思ってるから出来るんだよ。」

迷惑が掛かるって思ってた。

サユの家は居心地良かったけど、

どこかあまり迷惑掛けないようにってそう思ってた。

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