Hurly-Burly 【完】

妄想なんかしてるからだ。

サユにもいつも言われてたのに、人前では

するんじゃないよってあれだけ口が酸っぱく

なるほど注意されたのに。

「ありえない、ありえない、これは夢だ。」

呪文のように唱えるあたしを心底不思議そうに

見つめる彼らと距離の縮めてきたナル君。

「そして、地球最後の日になんて悪夢だ。」

こんな日に限って悪夢を見るだなんて、

やっぱり蕁麻疹は続いてるのかもしれない。

そして、一度始めた妄想列車は止まらない。

悪夢なら覚めろと頬を殴りだすあたしに、

彼らがビックリしていただなんて知りもしないで、

「い、」

ナル君の声が聞こえたかと思ったら、

「よっ、ひよ・・立花さん」

これまた学校ではとても会いたくなかった

ヤツ現るだ。

「おはようございます、村田先生」

お辞儀をするあたしに会釈をする

白衣を靡かせる黒髪に黒縁眼鏡で

これまた拡張したピアスを付けて

爽やかに笑うあの悪魔の悪友。

「立花さんが仕事に手こずるなんて

珍しいと思ったらお前らかよ。」

ため息を吐く保健医村田氏に

お前がため息って何と言いたくなった。

このややこしい状況にいきなり登場

してくるなんて何て迷惑極まりない

ことしてくれるんだ。

「ようっ、ムラタっち。」

何、そのたまごっちみたいなあだ名!?

そして、何故この男を知っている?

停学処分されてたはずではないか。

学校来るのなんて入学式以来なのでは

ないのか。

全く、状況が見えてこない内にさっさと

逃げるが吉だ。

とっとと逃げるぞ。

ここに居てはあたしが崩壊する。
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