Hurly-Burly 【完】



***




俺が初めてあの子にあったのはまだあの子

が小さくて本当に子どもだと思ってたような

気もする。

だけど、あの子はすごくしっかりしてた。

家族の中で誰よりも心の強い子だと理解した。

可笑しなことを言ったりする子ではあったんだ。

それはあの子なりの格闘があるからだって理解

出来るようにはなった。

まだ小さいあの子は何を想いたって決めた

ことなのか分からない。

でも、一度決めたことは何があっても

やり通してた。

芯の強さに小学生だったあの子に心惹かれる

ものがあったのも事実。

いつの日もあの子を支えるためにと思った。

小さなあの子はアイツの好きな子だった。

どうしようもなく、俺には可愛く見えた。

未依さんだけはあの子がどうするかという

のが分かってるみたいだ。

『あたしの娘よ、あの子はやる時やるのよ。』

そういう彼女も自分を犠牲にしていた

ような気もした。

『日和はあたしと同じ道を歩むのかしら?』

一度、弱気になるととことん仕事に手が

つかなくなる人で大変だった。

その話を貰った日から決して首を縦に振る

ことなく好きなようにさせてあげたいという

願いだけは母親の気持ちだったと思う。

最後はあの子がどう思うか。

決めるのはあの子自身で誰かが口に

出すことでもない。

それにあの子は知らないで居る。

未依さんさえ知らないんだ。

俺が言わないわけない、

俺が尊敬している人に自分の娘の

人生最大の選択が迫っているということを。

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