Hurly-Burly 【完】
言わないわけなかった。
俺だってあの子のためにしてやりたいことが
あったというのに9歳のあの子に追い打ちを
掛けたのは・・・・最低な人だった。
こんなことのためにあの子を支えようと思った
わけじゃないのに、あの人にはしてやられる。
せめて、あの子に本心を心から自分の思ってる
ことを言えるようになって欲しいというのが
願いだったというのにこの役回りは運命の
悪戯だというのだろうか?
ただ、幸せになって欲しいだけなのに、
あの子は人一倍頑張る子だから俺があの子
の頑張りに敵うわけないのにあの子は俺を
頼りにしてくれる。
『あたし、大和さんの作る料理好き。』
あの笑顔を壊す日が来るなら俺はあの子
の味方でずっと居よう。
あの子が心から望むことを願う。
「なぁ、元気にしてたか?
もう、天使のような俺の娘は。」
本当にあの子の父親なのかと疑う。
あんなにしっかりしたあの子がこの
父親を嫌わないのはある意味奇跡に
近いものがあると感じる。
「ええ、お元気そうでしたよ。
やっぱり、チーズケーキがお好き
なようですね。俺は甘いものがあまり
好きではないですが、あの子の作る
チーズケーキだけは好きですから。」
「あー、いいな。
俺も食べたい。
ひーちゃんの可愛い姿を拝みたい。
抱っこしてぎゅうぎゅうにして
やりたいな。こねくり回してやりたいし、
一緒にお風呂入ってやりたいねっ。」
この人は本当に気持ち悪いぐらい
娘馬鹿だな。
「嫌われますよ。
高校生になった娘が一緒にお風呂に
入るわけないですよ。
彼氏ならまだしも父親は当分卒業ですよ。」
そう言うと落ち込む朝陽さん。