Hurly-Burly 【完】

この時期の雷はどうしようもないほど、

心が動揺するんだ。

ただ、雷が怖いだけでもないのがこの時期の

最大の難所だ。

「ひーちゃん、大丈夫?

やっぱり、今日は家来るか?

散らかってるけど、一緒に居てやるぞ。」

コイツもあたしがこの時期に弱ってるのを

知ってる数少ない人の1人だ。

「・・・・いい。頭痛薬ないの?」

それでも、甘えは許されない。

いつか、この弱点にも打ち勝たないと

ならない日が来るかもしれない。

悪魔に貸しは作りたくない。

「釣れないねぇー、何もしないよ?

俺、ひーちゃんには手を出す気にさえ

ならないからね。」

そりゃ、どうも。

けど、そんなことすら頭になかったよ。

あんた、家に連れ込んで何かする気だったのか?

あたしじゃなきゃ、大変だったぞ。

女子生徒の危機を感じながらこの悪魔

いつもこんなんで保健医やっていけるのが

不思議でしょうがないぜ。

「・・・弱虫。」

手を出す気はないか。

ただ単にそれは出せないじゃないの?

まぁ、あんたにはあたしが女に見えない

かもしれないけどさ。

男の端くれなら女子高生の弱味に漬け込んで

くるぐらいの冗談言えよ。

優しくなんかするなよ。

こんな時に、調子狂うし。

意地悪言われた方がまだいい。

「弱虫って・・・本気で言ってんだけど。

何、俺の体に興味でもあったの?」

それぐらいの冗談があった方がまだ

普通な気がしていいや。

捻くれ具合Maxだった。

優しさはあたしを我儘にする。
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