Hurly-Burly 【完】

どうしてだろうか?

「ひぃぃっー!!」

暗闇に浮かぶのは雷の光る映像。

どこか記憶の片隅に留まるそれ以外は

ちっとも覚えてない。

「日和ちゃん、大丈夫だよっ。

ほら、お兄さんの服なり何なり・・・」

やっちゃんさんが慌てる。

急に辺りが真っ暗になったら、誰だって

不安になるものだが。

「何だ、停電か。それとも、ブレイカーでも

落ちてしまったのではないだろうか?おいおいおい」

あたしの場合停電ではちっとも動じない。

「ねぇっ、日和ちゃん。

そこ怖がるとこじゃない?

雷にビビってたのに停電は平気って・・・」

やっちゃんさん、暗闇の中だと超恐ろしい。

「ひぃぃっー!!出たぁぁぁ」

お化け以上の何物でもない。

「いやいや、俺だよ。

何その反応困っちゃうからやめよう。」

サングラスを室内でかけてるからだよ!!

「おいおいおいっ、2人で自己完結するなよ。

俺たち忘れてねぇーか?」

あ、ごめんね慶詩。

すっかり、忘れてた。

「ターヤン、懐中電灯ないの?」

ナル君の声が木霊する。

誰がどこに居るかも分からない。

分かるのはやっちゃんさんだけだ。

何せ、あたしが服の裾を握りしめてる。

「ないな。

この家、災害時対策してねぇんだわ。

検討しないとな。」

即刻しろ!!

せめて、懐中電灯ぐらい買えよ。

どんだけ、頭パーなの!!

それぐらい、常識でしょ。

むしろ、大災害あったらどうする気だよ。

あたし、すごい心配だわー。






< 349 / 419 >

この作品をシェア

pagetop