Hurly-Burly 【完】

その子がくれたお菓子を口に運んだ。

「美味しい」

言葉に出てた。

市販とか家のシェフに作らせたものなんかよりも

甘くて美味しかった。

照れたその子がにっこり笑った気がした。

「な、名前を聞いてもよろしいかしら?」

それが嬉しかった。

名前を聞いてくれる。

あたし自身に興味を持ってくれる。

家柄であたしなんて興味を持たない

人たちに囲まれてたから何よりも

嬉しい言葉だった。

「生きるって素晴らしいよ!!

藍ちゃん、世の中良いことも転がって

来るさ、悪いことの次ぐらいにね。」

あたしのことを親身に聞いてくれる

子はどこを探したって貴女しかいない

だろうなと思った。

「不幸と幸せはみんな同じぐらいらしいよ。」

その言葉信じてもいいかな。

もしも、今あたしの人生で不幸続きだったら

貴女に出会ったことで世界は変わるの?

「貴女の考え方は面白いかもしれないわね。」

頭がいい貴女が考えることはきっと普通の

人と違うのかもしれない。

「立花日和っていいます!!

ぜひとも、仲良くして頂きたいです。」

元気よくいう日和はあの時の印象と

だいぶ変わった。

喋ってみないと人ってのは分からないもの。

でもね、今日貴女に出会えたことであたし

少しでも救われた気がするの。

だから、ずっと言葉に出来なかった言葉を

どうか受け取って。

消しゴムも勇気づけてくれたことも、

全部嬉しかった。

「・・・あの、ありがとう。」

感謝の仕方なんて忘れた。

でも、それが精一杯だった。

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