Hurly-Burly 【完】

教室に戻ると、

「何故だ!!」

男子の着替え場と化した。

あたしの体操服もサユの分もまだ

教室で待っているというのに。

何も知らずガラガラ開けると、

「いやん。」

ワイシャツを脱ごうとしてた伊織君

をガン見した。

2度見て扉を閉めた。

何てハレンチな体してんだ。

フェロモンを無駄に垂れ流して、

嫌なぐらいイケメン軍団め。

「ヒヨリ、どうする?」

体操服を取りにも行けなくなったと

そう思ってしゃがみ込んでいた時だった。

ガラガラとジャージ姿が全く似合わない

馨君があたしの鞄とサユの鞄を持って

現れた。

「ごめんね、言うこと効かなくて。」

そんな申し訳ない。

馨君にお手間を取らして

本当に悪いことをしたなと

思いながら謝ることより先に、

「ありがとう。」

感謝を述べることにした。

彼だけは常識が通用すると

見てるのだが。

ホントに、ジャージが似合わないよ。

ワイシャツの馨君がいいよ。

「どういたしまして。」

にっこりと笑う彼の綺麗な微笑みに

どきゅんと胸が高鳴った。

「し、心不全だ。」

馨君が教室に戻ってすぐにサユに

駆け寄って胸を押さえながら言った。

「あんたの発想は分かったよ。」

サユに呆れられた。

それでも、一緒に笑ってくれたから

それだけで幸せだなって思った。
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