Hurly-Burly 【完】

彼女がサユリちゃんに抱きついて止めるまでは

サユリちゃんは蹴り続けてた。

さすがに、顔が酷いことになってると思った。

「日和っ、あんた大丈夫?」

正気に戻ったのかサユリちゃんの後ろで彼女が

サユリちゃんの腕を抱きしめていた。

「もうさーちゃんやり過ぎ!!

殺人事件起こしたみたいな現場を見て。

可哀想に相手が悪すぎだよ。

さーちゃんの睨みで逃げれば良かったのに・・・」

彼女はサユリちゃんに項垂れる。

「だって、ムカつくじゃない。

こっちが黙って下手に出てれば

言いたい放題言ってきてさすがに我慢

出来なかった!!」

どうやら、サユリちゃんは要注意人物みたいだ。

「だからって・・・ああ。

顔が大仏のように・・・無念だね。」

ボコボコが正しい。

確かに、膨れ上がった顔をした男たちが

転がってる。

「それより、日和!!

あんたの心配してるのよ。」

サユリちゃんが彼女の方を振り返る。

彼女はよろけて後ろに転びそうだった。

「うおっ」

すぐ後ろに回って彼女を抱えた。

「ひーちゃん、足・・・」

膝小僧に擦りむいた痕が生々しく残る。

血が溢れるのを見るところさっきのだろう。

彼女を地面に放り出した男をもう一度蹴って

完全に息の根を止めた。

身動きすら出来なくなった男を見てから

彼女を負ぶった。

「もっくん、いつの間に!!」

気付くの遅いと思いながらも彼女のあまりの

軽さに驚いた。

小さくて細いイメージはあったけど、実際

もっと軽くて乱暴に扱ったらすぐにでも折れて

しまいそうな気さえした。

ちゃんとご飯食べてるのかな?

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