Hurly-Burly 【完】
サユはほんの少し躊躇いながらも
にっこり笑った。
サユの考えてることがイマイチ
分からなかった。
「ヒィィィィィ」
廊下でナル君に引きずられる。
何て、握力の持ち主なの!?
剛腕過ぎて引きずられるままだ。
可愛い顔の下には怪獣が降臨
しているに違いない。
この街を征服しようとやってきた
のかもしれない。
街の危機が訪れた。
「あ、あ、アン○ンマンを呼ばねば・・・」
畜生!!
あたし顔があんぱんじゃないよ。
街の人々に顔のあんぱん分けて
あげられないよ。
この街の人の平和守れないよ!!
いきなり、ナル君が止まった。
そして、くわっと見つめられて恐縮した。
何て大きなお目目なの!!
二重でくりくりとした可愛らしいたれ目。
睫毛がバサバサとキャラメルハニー色の
ふわふわマッシュの髪型がより可愛さを
主張する。
小さなお鼻に小さなお口、輪郭すら
あたしよりひとまわりぐらい小さい。
お、男の子に負けるとは・・・悲しいわ。
「や、やっぱり、委員長!!
頭打ったの?」
あたしの肩をユサユサ揺さぶるナル君にギョッとする。
何を勘違いしているのこの子?
誰か、大人の人この子を止めて下さーい。
爆発寸前のこの子の大砲受け止めて下さい。
「ナル」
そして、落ち着いた声が後ろから静かに
聞こえて息を呑む。
ありえないぐらい綺麗に笑う紳士・・馨君。
走って来たのか肩を揺らす他の仲間たち。
「女の子に乱暴しちゃ駄目でしょう?」
何ていうかこの集団可笑しすぎる。