Hurly-Burly 【完】

サユはほんの少し躊躇いながらも

にっこり笑った。

サユの考えてることがイマイチ

分からなかった。

「ヒィィィィィ」

廊下でナル君に引きずられる。

何て、握力の持ち主なの!?

剛腕過ぎて引きずられるままだ。

可愛い顔の下には怪獣が降臨

しているに違いない。

この街を征服しようとやってきた

のかもしれない。

街の危機が訪れた。

「あ、あ、アン○ンマンを呼ばねば・・・」

畜生!!

あたし顔があんぱんじゃないよ。

街の人々に顔のあんぱん分けて

あげられないよ。

この街の人の平和守れないよ!!

いきなり、ナル君が止まった。

そして、くわっと見つめられて恐縮した。

何て大きなお目目なの!!

二重でくりくりとした可愛らしいたれ目。

睫毛がバサバサとキャラメルハニー色の

ふわふわマッシュの髪型がより可愛さを

主張する。

小さなお鼻に小さなお口、輪郭すら

あたしよりひとまわりぐらい小さい。

お、男の子に負けるとは・・・悲しいわ。

「や、やっぱり、委員長!!

頭打ったの?」

あたしの肩をユサユサ揺さぶるナル君にギョッとする。

何を勘違いしているのこの子?

誰か、大人の人この子を止めて下さーい。

爆発寸前のこの子の大砲受け止めて下さい。

「ナル」

そして、落ち着いた声が後ろから静かに

聞こえて息を呑む。

ありえないぐらい綺麗に笑う紳士・・馨君。

走って来たのか肩を揺らす他の仲間たち。

「女の子に乱暴しちゃ駄目でしょう?」

何ていうかこの集団可笑しすぎる。
< 41 / 419 >

この作品をシェア

pagetop