Hurly-Burly 【完】

巻き込めるわけないと思った。

こんなに優しく笑ってくれるヒヨリンを

傷つけることなんてそんなことしたら罰が

当たると心底思った。

「えへへっ、でも不動の1位はサユかな。

サユのことはもう好きとは言い表すのが

足りないぐらいにそれはもうぞっこんレベル

なぐらいですよ。」

みんながどう思っててもヒヨリンには

ここで笑ってて欲しい。

「サユリンには敵わないだろうな~。」

ナルが口を尖らせながら拗ねる。

「あははっ、ナル君。

サユはね、ああ見えてすごく寂しがり屋なんだよ。

それはもう可愛いなんてレベルの問題じゃないぐらい

泣き虫だし、ツンデレレベルの高い姉さんなんですよ。

あたしはこんな感じだから人見知り激しいし友達とか

って中々出来なくてさ、その前にあまり他人に関して

の興味ってヤツが全くなくてサユはそんなあたしでいい

と言ってくれたたった一人の大親友なんですよ。」

サユリンって美人なのにヒヨリンのこと誰よりも

考えててヒヨリンを大事にしてるもんな。

「だから、高校に入ってみんなに出会って

友達いっぱい出来てなんか毎日がとても楽しくて

もっと早く気付いてれば良かったなって後悔するんだ。」

ヒヨリンは恥ずかしげもなく自分の感情を口に

出来る子だ。

「日和ちゃん・・・」

ヒヨリンが背筋を伸ばして頭を下げる。

「だっ、だからね、お願いだよ!

あたし普通の子と違って結構強い自信あるし、

まだねよっちゃんとツーリングに行く約束も

果たしてないし、もっくんと葡萄狩りに行く

予定も立ててるし、ちぃー君はいいって言って

くれたけどさ、みんなが了解してくれないと

一緒に居ちゃ駄目なのかなって・・・」

ヒヨリンは目を泳がして言葉を濁した。

真っ直ぐ見つめるその瞳は漆黒で思わず

綺麗だなと思った。
< 415 / 419 >

この作品をシェア

pagetop