Hurly-Burly 【完】
巻き込めるわけないと思った。
こんなに優しく笑ってくれるヒヨリンを
傷つけることなんてそんなことしたら罰が
当たると心底思った。
「えへへっ、でも不動の1位はサユかな。
サユのことはもう好きとは言い表すのが
足りないぐらいにそれはもうぞっこんレベル
なぐらいですよ。」
みんながどう思っててもヒヨリンには
ここで笑ってて欲しい。
「サユリンには敵わないだろうな~。」
ナルが口を尖らせながら拗ねる。
「あははっ、ナル君。
サユはね、ああ見えてすごく寂しがり屋なんだよ。
それはもう可愛いなんてレベルの問題じゃないぐらい
泣き虫だし、ツンデレレベルの高い姉さんなんですよ。
あたしはこんな感じだから人見知り激しいし友達とか
って中々出来なくてさ、その前にあまり他人に関して
の興味ってヤツが全くなくてサユはそんなあたしでいい
と言ってくれたたった一人の大親友なんですよ。」
サユリンって美人なのにヒヨリンのこと誰よりも
考えててヒヨリンを大事にしてるもんな。
「だから、高校に入ってみんなに出会って
友達いっぱい出来てなんか毎日がとても楽しくて
もっと早く気付いてれば良かったなって後悔するんだ。」
ヒヨリンは恥ずかしげもなく自分の感情を口に
出来る子だ。
「日和ちゃん・・・」
ヒヨリンが背筋を伸ばして頭を下げる。
「だっ、だからね、お願いだよ!
あたし普通の子と違って結構強い自信あるし、
まだねよっちゃんとツーリングに行く約束も
果たしてないし、もっくんと葡萄狩りに行く
予定も立ててるし、ちぃー君はいいって言って
くれたけどさ、みんなが了解してくれないと
一緒に居ちゃ駄目なのかなって・・・」
ヒヨリンは目を泳がして言葉を濁した。
真っ直ぐ見つめるその瞳は漆黒で思わず
綺麗だなと思った。