Hurly-Burly 【完】
Said:慶詩
初めてあったその女は変わったヤツだと思った。
入学式のある日に流血事件を起こした俺たちに
その女はただ学校の遣いとしてやってきた。
何の変哲もなくプリントを渡しにやってきた。
その場に居なかった俺にはそれが全くもって
意味が分からなかった。
自慢ではないが、俺たちはそこそこ有名で
恐れられてる自信があった。
街に出れば白い目を向けられ、学校では
センコーが邪魔者扱いのように見られてた。
クラスメイトだって怯えるヤツが殆どで、
支配してるようなもんだった。
その癖、委員長だと言うその女がわざわざ
俺らが住処にしているところに何の躊躇い
もなくやってきたと聞かされた時は心底
驚いたと思う。
そして、出会ってすぐに逃亡している
女を追いかけることになるとは思わなかった。
その女の特徴を聞いてらしき人物が丁度公園
の裏道を通ったのを見て引き留めようと思った。
逃げ足の速い女だと思った。
女の癖にそのスピードは尋常じゃないと
思うや否やナルに捕まった女を見て、
こんなもんかと思った。
それが始まりだった。
変わった女が目の前に現れて、ただ興味
に引かれたというと変な気持ちだ。
面白れぇ女に会ったとでも言っておこう。
そして、時間を元に戻す。
さっき、担任の相沢に仕事を一人で
任された変な女の様子が可笑しかった。
苦しそうに眉を顰めてただただ一心不乱
にプリントをまとめている。
誰にも手伝えと言わず、同じ委員の
佐藤の気遣いも取っ払い一人で仕事
をこなす変な女に何故か目が離せなかった。
途中、頭を押さえ苦しそうに息を吐く。
その行動を見た瞬間だった。