Hurly-Burly 【完】

驚きを隠せない女が布団を頭まで被る。

「ひーちゃん、さてお仕置きしようか?」

ムラタが布団を引きはがす。

「ひぃぃぃぃ、キモイキモイからっ!!」

布団を剥がされた変な女は枕を盾に

ムラタの魔の手から逃れようと奮闘

するも否やすんなり腕を捕まれた。

「やめろ、離せ、姑息だぞ!!」

ムラタにふるふる首を横に振る

変な女は悔しそうだ。

「ひーちゃん」

そして、パイプ椅子で大人しくしていた

相沢が変な女に詰め寄った。

「さて、お前本気で俺を怒らせてぇの?」

その黒い笑みに変な女が顔を青ざめる。

「何故、怒る!」

この女は何も知らねぇんだろうな。

相沢が焦ってたことすら分からねぇ。

ありえねぇスピード出してここに

連れてきたこと気付きもしねぇだろうな。

「今日、朝飯食ったか?

昼飯はどうだ?」

その女の耳元で囁くそいつはもう

教師とは言えねぇ。

「そういえば・・・食べてないな。」

とんでもなくぶっ飛んだその女は

少し言いづらそうだった。

「ひーちゃん、自分のことは自分で

するっての忘れたの?」

相沢の目つきが変わる。

「忘れるわけないじゃない。」

その女を見つめる瞳がどこか

今までとは見たことがないぐらい

の優しさを含んでいた。

「けど、そういうの逆にシンドイとは

思わないのかねぇ。」

ムラタが女の額に手を当てる。

「ひぃぃぃぃ、」

その女の瞳が微かに揺れた気がした。
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