D i a r y
まどろみの中でだけ
雨の夢を見た。
好きだ。
どうしようもなく、雨が好きだ。
多分雨も、俺のことが好きだ。
なのに、どうして
どうして俺は雨を置いて死ぬ?
あの、柔らかい頬にも
小さな爪にも
もう会えないのだろうか。
化学治療は受けない。
雨が好きだと言ってくれた
伸ばした髪がなくなるのは嫌だから。
いつだって雨のことを考えている。
ここはアメリカで、
雨は日本で
付き合い始めたときは
大阪と九州で
おれの留学が決まったときも
「遠恋には慣れてる」
と笑顔で送り出してくれた。