D i a r y
初めて恋をした。
自分には生涯無縁だと
思っていたのに。
告白をしてきた女の子は沢山いた。
でも彼女たちは
おれの卑屈だった時代も
過去も、傷跡も知らない。
取り繕った面の皮だけを好きだと言われて
嬉しいはずはなかった。
なにより彼女たちは
雨のように笑わなかったし
雨のようにおれを救わなかった。
雨のように弱くはなかった。
雨のように、
おれのなかで大きな存在ではなかった。
「俺のそばにいろ、好きだ」
精一杯の告白の言葉に、
雨は笑って頷いた。
おれの、最初で最後の 恋人。
親友のようで、きょうだいのようで、
娘のようで、母のような
特別な、大切な、おれの恋人。