初雪といっしょに見守ってる
2人はそのまま夏祭りが終わるまで一言も話さなかった。
何度目が合っても、うつむいてしまった。
「空、どーだった?」
「もう、なんていうか…destiny!? 俺感動!」
「は?」
夏祭りの後、空は涙目になりながら叫んだ。
「美空がさ、靴擦れして、座り込んでたんだ。
そしたらさ、そしたらさ、山田颯哉って子が!『大丈夫?』って!」
「…え………。」
山田颯哉……。
もしかして、颯…?
「ソイツ!どんな喋り方だった!?」
「えっ、島根…?」
「颯哉か!」
アイツ、こっちに来てたのか…そーいや夏休みはいつも来てたな…。
そっか、颯哉か……。
「颯哉はメッチャいい奴だから!安心しろ。」
「…知り合い?」
「うん。」
コクッとうなずくと、空は「そっかぁ!」とワクワクしたような、まるで新しいオモチャを手にした子供かのように笑った。