初雪といっしょに見守ってる
《雪乃が幸せになったら、俺も幸せ。》
『…っ…。』
《雪乃の願いはなに?》
『あのね、あのね、由季ちゃん…雪乃はただ、幸せになりたいだけなの………。』
「由季、雪乃ちゃん…。」
「分かってる。墓に来てる。
雪乃が思ってること、全部聞こえるから。」
11日、けっきょく雪乃は夏目凪からの誘いを断った。
そして今、俺の墓前で手を合わせ、必死に話しかけてくる。
《最近ね、由季ちゃんが夢に出てくるの。
幸せになってほしい、ていうの。…勘違いかな?
この前ね、夏目君がどんな名前つけたい?て聞いてきたから言ったの。小雪と小羽って。
そしたらね、夏目君、『それいいなっ。』て笑ったんだよ?
……由季ちゃん、雪乃は幸せになりたいだけなの。雪乃は幸せになっていい?》