同級生-Memories-
「いえ、車で来てますので」

「泊っていけばいいじゃないか」

初めてのはずなのに、まるで自分の息子のように可愛がってくれるご両親に、俺もすっかり心を許してしまって。

断りきることもできなくて、お酒を頂いてしまった。

「近くの神社へ、初詣へ行ってきます」

お腹も落ち着いたところで、晴れ着姿のクミと一緒に歩いて初詣。

「お父さんがあんなに楽しそうなの、久しぶり」

俺に腕をからめながら話す彼女の頬は、お酒でほんのりピンク色で。

「俺も、今日は来てよかったよ」

新年早々、すごく幸せな気分だった。


それ以来、実家へ用事があると一緒について行くようになり、時間が許せば泊っていくことも多かった。

「またいつでも来なさい」

「ありがとうございます」

お酒を飲むと普段でも優しそうなお父さんの目はこれ以上下がらないだろうと言いたくなるくらいたれ目になる。

すごくクミのことを可愛がっているのがよくわかるし、俺のことも同じように息子だと言ってくれるまでになっていた。

大学を卒業する時、お互い希望した就職先に就職も決まっているのもあって今のアパートをどうするかという話になった。

「私はもう少しセキュリティーの高いところへ引っ越そうかと思っているの」
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